「ど、どゆこと…」
「この青白いピンクは現代の流行りの色じゃない。でなければ定番カラーでもない。…店頭に置いてある色じゃないってことさ」
「ふ、ふーん…」
…とは、言ってみるけど。
女の口紅の世界はよくわからない。
百貨店のメイク・婦人服部門のアドバイザーをしている母さんならわかるかもしれないけど。
「そこで!私の頭に浮かんだ仮定とわ。『この口紅、いつの時代のモノなのか』『この口紅つけてた人、ひょっとして現代の人ではないのでは』ってさ」
いつの時代…?
現代の人ではない…?
…確かに、この口紅の色、この鹿畑さんの写真同様時代を感じる。
「…では、いつの時代の人が付けていた口紅なんでしょう!…てなわけで、調べましたよ?なずなさんわ」
そうして、なずなはフッフッ…と笑っている。
「そしたら、ビンゴです?…ちょうど20年前、ガングロギャルのブームの時代は、ヌーディーなベージュが大流行!だったんだけど…」
ポケットをまさぐって、取り出したものを見せる。
それは…ブルーのパッケージの口紅。



