それは、俺にしたらお馴染みの顔の人。

親父の友達のおじさん。

いつも一緒に遊んでくれる大好きなおじさんだった。



『伶士、どこに行くんだ?』



おじさんは、はぁはぁと息をきらしている。

だが、何故だかも考えずに、質問に素直に答えた。



『あのね、このおばさんがたのしいところつれてってくれるって。ぼく、パーティーもうイヤなんだ』

『そうか、そうだったか…』



すると、おじさんはニコッと笑う。

お日様みたいな暖かい笑顔。

俺の大好きな笑顔だ。



『ごめんな?伶士。パーティー嫌だったんだ。じゃあもう帰ろうか』

『おじさんもいっしょにたのしいところいこうよ』

『わかったわかった。その前に、伶士。お母さんが伶士を探してるぞ?まずはお母さんのところに行っててくれな?』



そう言われると、遠くの方向に母さんの姿を見つけた。

…あ、おかあさんだ!

こっちに向かって走ってくる。

まだ5歳の俺。

母さんを見つけると無条件に嬉しくなって、あっという間に母さんの方へとまっしぐらに走っていった。