通話を切って、すぐさま気持ち早足で歩き出す。
着替えもせず練習着のまま、カバンを持ってその西出口へと向かった。
しかし、こんな近くに忠晴も一緒だなんてすごい偶然だ。
二人でパン屋で何してたんだ?
商店街のパン屋への行き方は…学校の敷地を抜け、マンションの敷地と広い空き地を通り抜けると、商店街の通りに出る。
出たらすぐ道路の向こうに、オシャレな建物のパン屋さんがある。
そこに、なずなと忠晴がいる。
西出口から、ほぼ一直線だ。
早く合流しないと。
そう思って、足を進める。
西出口を通り抜け、学校の敷地を出た。
…その時だった。
一歩踏み出した途端、その足元が深く沈み込み、足の裏や足背にムニュッとした感覚を覚える。
(…あっ!)
また、さっきのと同じ…!
深いぬかるみにハマったように、囚われた足は体のバランスを奪って。
またしても、地に転げさせられる。
しかし、先ほどのようにモロに倒されたのではなく、体勢が受け身となり、体を起こすことが出来た。
…だが。
体を起こしたその先には。
「えっ…」



