「…あのおじいさんは、いつもの正体不明の追っかけおじいさんでしょ!いつもいるでしょ!」
美森、怒る怒る。
と、いうか。
あまりそこには触れないで。
それ、うちの執事。
忠晴だから。
…とは、みんなには絶対言えず。
あえて黙りこむ。
忠晴は毎回毎回、俺の試合をこっそり見に来る。
しかし、いつもの執事の格好だと目立つので、私服で来るのだ。
月曜深夜の夜更かし番組に出てくるようなキワモノおじいさんみたいだが…。
忠晴は、俺が橘の人間であることをみんなに内緒していることも知ってるので。
試合を見に来ても、俺には絶対話し掛けず、試合が終わったらさっさと帰っていく。
しかし、いつもいるので、部のみんなからは『正体不明の謎の追っかけおじいさん』と認識されていた。
誰の親族かとか、俺が口を開かないから、みんなもわからない。
でも、あまりにもレギュラー化されているので、さっきせづマネがお茶を出していた。
「いや、今日はそのおじいさんと同伴してるのがいて…」
「同伴?」
颯太が、恐る恐ると指を横にずらす。
…あ。
ああぁぁっ!



