そして、いつの間にか持っていた紙を指で挟んで女性の前にかざしていた。
紙…毛筆で何か書いてある。
お札…?
「…必ず居場所突き止めて、鎮魂、浄化してやる。覚えとけ」
手にした札が、徐々に光り出す。
鈴代なずなが、何かブツブツ唱え出すのに反応して光ってるようだ。
《くっ…な、なによ…》
鈴代をギッと睨み付ける女性。
視線がもう殺気に溢れるほどで、顔をビキビキと引きつらせては、顔貌を徐々におぞましく変えていた。
《…私、彼しかいないの、見てないのよ…!何にも出来ないお嬢様に…何がわかるのよ!》
女性は体を震わせながらも、ごちゃごちゃと鈴代に訴えかける。
しかし、そのままブツブツ唱えてる最中の鈴代なずなは彼女を冷たく見つめたままだ。
女性の顔は、更に殺気立っていく。
《彼を幸せ出来るのは…私だけ!》
そして、不意に。
女性は俺の方にバッと振り向き、視線を当てられた。
(…えっ)
目が合った瞬間。
見えない衝撃が、ドン!と全身にぶち当たったような感覚を覚える。
(え…)



