俺のボディガードは陰陽師。



立てた二本の指に、薄い朱色のベールが四方から集まる。

まるで、花を象っているかのように動いていて。

それを握るように、グッと拳を握る。



「…朱霊華!」



その拳を、一気に彼女に向かって振り下ろした。

衝撃が、空気を伝って震動する。



《…ギャアアァァッ!》



女性の悲鳴と共に、二人の姿は爆風に包まれる。

迫る風圧に、思わず顔を伏せてしまった。



(すごい、風っ…)



辺りが静まり、風が止んだのを感じて、顔をそっと上げる。

なぜか室内のものが何も吹き飛んでいないことに疑問を感じながらも、二人の姿を確認する。



「仕事は素早く、一撃必殺」



そう言いながらゆっくりと立ち上がるのは、鈴代なずなだ。

女性はボロボロになっていて、倒れたまま。

《うっ…》

ダメージが大きいのか、なかなか起き上がることが出来ずにいた。

そんな女性を見下ろして、忠告を投げ掛ける。



「…あんたは生き霊だから、とりあえず、しばらくイタズラ出来ないように弱らせて牽制かけて、カラダへ返してやる。…だけど」