「なずなさんが気遣いなく使用中の浴室に踏み込んでいったのはなずなさんも悪いですが、しかしそこをお怒りになるなんて、正直小さいですよ」
「うっ…」
忠晴にズバリと言われた。
小さい…そこは、後から俺もそう思ったよ。
「…でも!アイツ人の体じろじろ見やがって…」
「男の裸、減るものじゃないでしょう。鍛え上げた自慢のボディ、むしろ見せつけておやりなさい。大事なところを見られたぐらい何だって言うんです。伶士さまの場合はステイタスでしょう」
「……」
忠晴、そこは鈴代なずなと同じ意見?
大事なところ、ステイタス…でしょうか。
正直、見せつけるなんて不審者極まりないと思いますが。
しかし、何も言えないでいると、忠晴に畳み掛けられる。
「伶士さま、私は非常に残念ですよ。なずなさんに『使用人の分際で』と見下した暴言を吐いた上に、力ずくで乱暴に追い出すだなんて。橘の人間としても、女性に対する対応としても、目に余るものがございますが」
「うっ…」
「それに、なずなさんは使用人ではなく客人です。それは旦那様も仰っていたでしょう。なずなさんは、伶士さまの身を護って頂く大切な客人です。一度謝罪を」
「………」



