……秘密があります

 羽未だ! と思う。

 そして、ひっ、だけでわかるなんて愛だ! と自分で思った。

「どうした、羽未っ」
と給湯室に飛び込むと、羽未が腕にしがみついてくる。

 なんだろうっ。
 また蜘蛛かっ?
と思ったが、羽未は冷蔵庫と流しの隙間を指差し言った。

「あそこに……

 ゴキブリがっ!」

「ゴキブリかっ。
 任せろっ!」

 奴なら殺《や》れる!
と帯刀は思っていた。

 ところが羽未は、
「あそこに、死んだゴキブリがっ」
と言う。

「……死んでるのなら出せばいいんじゃないか?」

 触るのが嫌だからという意味だろうかと思って聞いていると、羽未は更に不思議なことを言い出した。

「二、三日前から死んでいるゴキブリがっ!」

「何故、今、驚く……?」