月曜日。
さちこさんの強引さが俺にあればなと思いながら帯刀は会社の廊下を歩いていた。
考えすぎて、
……本当に俺とさちこさんは親子なんだろうか、まで行ってしまう。
まあ、さちこさんのおかげで、式場は決まったが。
それがさちこさんのおかげというところがまた情けないな。
どうにかしなければ、と帯刀は思っていた。
いや、羽未にとっては式場が決まったことより、帰り際に強引にキスされたことの方がインパクトがあったのだが。
帯刀には、母親が会ったばかりの羽未を軽く翻弄《ほんろう》する姿の方が印象強く。
普段呑まない泡盛まで呑んだのに情けない……と猛省していた。
士郎たちが聞いていたら、
「いやいや、まず、酒に頼るな」
と言っていたところだろうが。
そのとき、給湯室から、ひっ、と息を呑む声が聞こえてきた。



