振り絞って声を出して伝えると、彼女が息を呑むのが解った。それで、今自分が発した言葉の意味を理解して、急激に恥ずかしくなって死にそうになった。抱き締めていたおかげで、幸いにも、真っ赤であろう僕の顔は見られていない。

「……あ、あの…宗ちゃん…」

「ご、ごめん、あと30秒、このまま」


早く顔赤いの(おさま)れ、早く治れ……………


彼氏らしいことも、彼女をリードすることも、好きだという気持ちをしっかり伝えることも、何1つしていないくせに、嫉妬することだけは一丁前かよ………

恥ずかしさと情けなさと悔しさと自分に対する怒りで、頭も心もよく解らない。

そんなんじゃ、漫画の人に負けたって、文句言う筋合いないだろ…………


体を離して彼女を見ると、彼女は顔を真っ赤にしていて、それを見た僕はまた顔が熱くなるのを感じた。


「…宗ちゃん、ごめんなさい、宗ちゃんの気持ち、考えられてなかった…」

ほのかはそのまま俯いた。


「ほのか」

呼び掛けるが、彼女は下を向いたまま、何? と返事をした。

「好きだよ」

「っ、」

その瞬間彼女は勢いよく顔を上げて僕を見た。

気持ちを伝えなきゃと思ったから伝えたけど、言ってから、今までにないくらい顔が熱くなる。