「祥兄ちゃん、早く~」

和花は、俺の元を離れることなく

すくすく育った。

ついこの間

真新しいランドセルが重そうで

登校出来るか心配していたのに………。

気づけば

初めて俺が天使に逢った、15才になっていた。

大きくなったと喜ぶ反面………

大きくなったから出来る心配もある。




「ねぇ、いいでしょう?」

中学卒業を目前に、お姫様のおねだりに付き合い

久しぶりにデートを楽しむことになった。

「デートに水族館?!
定番中の定番じゃん。
もっとひねってよぅ~
祥兄ちゃんって、絶対彼女なんていないでしょう?
それだといつまでもモテないよ~。」と生意気な事を言う。

そのわりに。

文句を言ってたかと思うと…………

入り口のキャラクターが見えた途端

走り出している。

……………まだまだ子供だな。

安心してにやける口元を手で隠し。

「走ると転ぶぞ。」と注意しながら後をついて行く。

「大人二枚。」

中学から大人料金になり

世の中では少しずつだが………大人と認められ始めてる。

子供だと喜ぶと………大人扱い…………。

本当に、複雑だ。

物思いに更けながら

ふと前を歩く和花に目を向けると…………