テレビから漏れる声だけが響く空間で課題を進めた。
何時間か経ったころ、ガチャと家のドアが開く音が聞こえた。
きっと両親だ。
リビングに入ってきた両親は、疲れた表情をしていた。
今日もお店は盛況だったんだろうな。
2人が帰ってきた時間は22時30分。
私達より朝早くに出ていってこんな夜遅くに帰ってくる。
誰より疲れてるのはこの2人。
「おかえりなさい」
「ただいま、詩織。勉強中だった?」
どれだけ疲れていても2人は笑顔で私に挨拶してくれる。
「ううん、大丈夫。今日の夕飯はカレーだから用意するね」
「温めるだけでしょ?自分達で用意するから大丈夫よ」
「気にしないでよ。仕事終わりなんだから休んで」



