そこのテントの入り口は閉まっていて、おそるおそる開けた。
もしかして芸能人の人もいるのかな。
そう思うと緊張して手が震えた。
「....失礼します」
中にはスタッフと書かれたTシャツを着た人達が数人いるだけだった。
芸能人の人がいないことにほっと胸を撫でおろした。
こんな身近に芸能人を見たらオーラに圧倒されて失神してしまうくらいだよ。
「どちら様ですか?」
スタッフさんが怪訝そうに聞いてきた。
いきなりテントの中に制服着た女子高生が入ってきたらビックリするのは当然。
「すいません。和菓子屋いろりの者ですが、頼まれた差し入れを持ってきました」
「わざわざありがとうございます。受け取りますね」
持っていた差し入れをスタッフさんに預けた。



