【完】魔法がとける前に~私が出会ったのは国民的スター!?~




水上さんと過ごしたおかげで私自身もたくさん成長できました。両親とも向き合うことができました。



私がずっと犠牲にしてきた青春を取り戻せたような気がしました。水上さんと過ごす時間はキラキラしていて私には眩しいくらいだったから。



でも、もういいんです。タイムリミットが来たんです。私が煌びやかなドレスを着てガラスの靴を履いて王子様と過ごせる時間の。



幸せな時間は一生、続かない。そのことは私が1番よく分かっていました。だけど水上さんとの時間は一生続いてほしい。



わがままだけれど、そんなことを願ってしまうほど大好きな時間でした。でも、元々、私と水上さんでは住む世界が違う。



私は下っ端の飯仕いならば水上さんは多くの女性を虜にする、完璧な王子様です。そんな下っ端な私が一時だけドレスアップして王子様の隣で過ごせた。



その時間があっただけで十分です。期限付きの夢だとしても私には十分すぎるほどの幸せでした。



きっと魔法がとけたんです。下っ端の私が王子様を独り占めする時間は終了だって。水上さんに出会う前に戻っただけです。