手を振って田崎さんは去っていった。



その後ろ姿を水上さんはずっと見つめていた。



「詩織ちゃん、ありがとね。詩織ちゃんがいなかったら俺はずっとバスケ時代のこと、後悔してたかもしれない」



「私はおせっかいなだけですよ。きっと水上さんの想いが届いたんですね」



「やっぱり俺は芸能界に染まってなかった小学生時代が1番楽しかったな」



そうつぶやいた水上さんの言葉は海の中に吸い込まれていった。



早くから芸能界で働く彼にとって小学生時代が唯一の青春なんだろうな。



何のしがらみもない毎日が送れた日々。



一週間後、水上さんの家にお邪魔した時



小学生時代のバスケ部の写真立ては伏せられておらず、その横には10年後の5人の笑顔で写っている写真が飾られていた。