見つからないようにしまっていたはずなのに。
「詩織、もっとわがままを言っていいのよ。子どもなんだから親に遠慮することなんてないの」
「でも私は長女だし、まだ俊輔や美百合も小さいし私なんかにお金をかける必要なんてないよ」
「子どもに優劣なんてない。子どもが親に自分の進みたい道くらい言ってみろ。親は絶対に応援する」
とどまっていたはずの涙が溢れそうになって必死にこらえた。
こんなに優しい両親だったことを私は長年、忘れてしまっていたんだろうか。
「....ありがとう」
「詩織が言えなくなってしまったのも私達のせいだわ。今まで色々と我慢させてごめんなさい」
「お母さんが謝ることじゃないよ。私が勝手にしてたことだから」



