【完】魔法がとける前に~私が出会ったのは国民的スター!?~




「子どものことくらい分かるわよ。親なんだから」



「詩織、音楽大学に行きなさい」



「.....いいの?」



音楽大学は学費が高いうえに、入ってからもたくさんのお金がいる。



それに音大を出たからといってプロになれる保証はない。



まさに安定性のない賭けに出るようなもの。



うちの家庭でそんな大金を出したら、もっと両親の負担を増やすことになるし美百合や俊輔のことだって...。



「ここに行きたいんだろう?」



そう言ってお父さんがテーブルの上に出したのは、私が机の引き出しの奥底にしまっていたはずの紙。



「それどうして....」



家からは少し遠いけれど、有名でカリキュラムがしっかりとしている音楽大学のパンフレット。