実の家族を知らなくても私はあの家庭で育ってきた。
たくさんの愛情を注いでもらったし、美百合と俊輔のおかげで毎日が幸せ。
このことを知ってからも私は不幸な人間なんだって思ったことはない。
そんなことを感じさせないくらい温かい家庭で育ててもらったからだ。
「詩織ちゃん、一度聞いてみたほうがいいと思うよ。詩織ちゃんが想っていること全て伝えてみたほうがいいと思う」
「....そうですね。いつか時間ができた時に聞いてみます」
もう聞いても許されるかな。
このことを聞いたら、両親が困ることは分かっていたから今まで聞いてこなかった。
聞いて事実だと知っても何も変わらないし。
でも、ずっと引っかかってるこの疑問を聞いてみたいな。