最後に長くお辞儀をして立ち上がった。
「終わりました」
「ありがとう。母さんにもきっと届いたはずさ」
紀保さん、こんな素敵な人を産んでくれてありがとうございました。
彼は将来、もっと大物になると私は思っています。
「じゃあ母さん、帰るね。また来るよ」
当たり前のように私の手と水上さんの手は繋がれた。
歩き出そうとした時、水上さんが立ち止まっていたので歩き出せなかった。
「水上さん....?」
帰ると言っていたのに、なぜか歩き出そうとはしない。
前方のある一点を見つめている。
私も彼が見ている方向に顔を動かした。
「........あ」
その先には花束と差し替えようの水を持っている男性が立っていた。



