そんな母さんの体調がずっと優れないって聞いて、俺は死期が近いんだなって悟った。だから絶対に会いに行こうって決めてた。
だけどその時に初めて連ドラのレギュラーが決まって、正直ものすごく迷った。仕事をとるべきか、家族をとるべきか。
悩みに悩んで俺は仕事をとった。言い訳に聞こえるかもしれないけど、母さんは俺が芸能界で成功することを願ってくれていたからここで仕事を捨てたら後悔する気がして。
俺が仕事をしている間に母さんは亡くなって、最期を看取ることができなかった。親戚さえなんて親不孝な息子だと俺のことを言ってたんだ。
自分で決めて仕事を選んだはずなのに、ずっと心の中で後悔してた。あの時、本当に仕事をとって正解だったのかって。
母さんより仕事を選んだ自分のことを母さんは恨んでるんじゃないかって、ずっと怖かった。だから一度も母さんの墓参りに行けなかった。
でも今日ようやく来ることができた。俺、やっと前を向ける気がするよ。
母さんより仕事をとったこと、これからは後悔しないように全力で頑張っていくから。これからも空の上から応援していてほしい。
俺、絶対に芸能界で成功して売れてトップになるから。これからはちゃんと来るよ。どうかこれからも見守っていてください」



