紀保さんはコスモスが好きだったのかな。



「水上さん、私は後ろで待っていますからゆっくりお話ししてください」



「ありがとう、詩織ちゃん」



水上さんと繋いでいた手は離れて、彼はお墓の前にしゃがみ込んだ。



「母さん、遅くなってごめん。俺、ようやく母さんに会いに来れたよ。ずっと待っていてくれた?



母さんが亡くなってから6年も経ったんだね。受け入れたつもりでもどこかで受け入れきれてなかったのかもしれない。



芸能の道に進んだ俺を1番応援してくれていたのは母さんだった。母さんを地元の病院に残してまで上京した俺をずっと応援してくれてありがとう。



辛かった時、苦しかった時、母さんの言葉に俺は何度も救われた。俺の母さんは世界一だって胸を張って言えるくらい自慢の人だよ。