「ぼく、おなかすいたぁ」
突然、俊輔がそんなことを言い出した。
時間を見るともうお昼過ぎだった。
私が長い間、時間も気にせず泣いてたからだね。
「もうお昼の時間だね。水上さん、キッチンをお借りしてもいいですか?」
「いいよ。詩織ちゃんが昼食を作ってくれるの?」
「はい。泣いてご迷惑をおかけしたので.....。いいですか?」
「もちろん。詩織ちゃんの手料理が食べられるなんて嬉しいよ」
サラッと嬉しいことを言ってくれる水上さん。
水上さんって鋭いけど、ある意味無自覚だよね。
自分の言葉にどれだけの力があるか気づいてない。
たったひとつの褒め言葉で女性がどれだけ嬉しくなるか。



