今まで何度周りから同情の目で見られたことか。



「かわいそう」なんて社交辞令のようなもので口先だけ。



どうせ自分の家庭と比べて貧乏な私の家庭を見下しているんでしょ。



誰になんて言われようと私は自分の家庭が大好きで誇りに思ってる。



どんな人に自慢したって恥ずかしくない。



私はそんな自慢できない恥ずかしい人生を歩んできてないから。



いつだってちゃんと胸を張って言える道を歩んできたつもり。



たとえ選択肢が少なくとも。



「詩織はこれから早退?」



「うん。俊輔の授業参観に行かなきゃいけなくて。一緒にお昼ご飯食べられなくてごめんね」



「そんなこと気にしないの。大変だろうけど、頑張ってね」