【完】王子様と呼ばれる彼は中身も完璧に王子様だった件




私にはその世界が息苦しく感じた。



庶民には理解できない世界だからこそ、そう感じるのかもしれない。



「その世界で生きている人達は誰であっても色んなことを知り、瞳が汚れていく。....僕も祥悟も」



2人の瞳が汚れている....?



「私は2人の瞳が汚れているなんて思ったことはないです。初めて会った時、綺麗な瞳をしているなって思いました」



私は鈍いのかもしれない。



でも、2人の揺るぎない綺麗な瞳は本物だと思うんだ。



「ありがとう。そんなことを言ってくれる妃菜と出会えたのも運命かな」



そう言って笑った翔和の表情はいつもの完璧な王子様スマイルではなくて、どこか憂いを帯びた笑顔だった。