「そう。朱雀のグループは大きすぎる。だから周りも朱雀のブランドを重視し、御曹司としてのアイツしか見てない」
「......」
私には理解できない世界の複雑なことなんて分からない。
だから、何も発することはできなかった。
「翔和は妃菜のことを気に入ってる。だから、これからも1人の人間の朱雀翔和としてのアイツを見てやってほしい。お前はそのままいてくれたらいい」
「分かりました。私は私として彼と接していきます」
これは強制じゃない。
ただ伊集院祥悟という朱雀翔和の第一側近からの単なる願い。
変な意味ではなく、彼は朱雀翔和という主人を愛しているんだろう。
だからこそ同い年の彼に忠誠を誓っている。



