彼の本当のすごさは、私では理解しきれないのかもしれない。
「妃菜はそれでいいのよ。そうでなきゃあの朱雀翔和が頼んで来たりしないでしょ」
「それも....そうだね」
私がもしお金持ちの世界に生まれて、お嬢様として過ごしていたらこんな事態にはなっていなかった。
朱雀さん達の世界を知らないからいいのかもしれないね。
お嬢様だったら他の子達と同じようになっていたのかも。
彼がいるのは私が全く知らない別次元のようなもの。
そんなすごい彼に私が何を教えてあげられるんだろうと少し、不安になった。
この先、どれだけ願っても経験することのできないことを私は経験することになる。
私が....知らない世界を。