「ここで壇上にお呼びしたい人がいます」
翔和がそう言った瞬間、会場全体が暗くなった。
「岡崎妃菜さん」
彼が私の名を呼んだ途端、暗い中私のところにスポットライトがあたり、照らし出された。
「.......」
これは一体、どういう状況?
全然理解できなくて言葉が出てこない。
ただ会場中の視線が私に集まっていることだけは分かった。
「行くぞ、妃菜。翔和が呼んでる」
どうしていいか分からず、立ち尽くす私の手を引いたのは隣にいた祥悟。
何も分からないまま、祥悟に手を引かれて壇上へと進んでいた。
周りから羨望の視線を感じながら。
そして階段を上がり、翔和がいる壇上へと来た。