「...そう。翔和はもう覚悟をしているのね。彼はもう朱雀家の後継者として生きているのよね」
そう言った海城さんはどこか寂しそうだった。
「本当は....翔和に会いたいんじゃないですか?」
「え?」
なんとなくそう思ってしまった。
「すいません。なんとなくそう思ってしまって....」
いきなり失礼だったかな。
どこか海城さんは本音を隠している気がする。
「....驚いたわ。心の内を見破られるとはね」
じゃあやっぱり....。
「私が家を出て今年で10年。翔和に最後に会ったのも10年前。きっと私の中で翔和は6歳のままでとまっているのね」
海城さんが家を出て10年....。
どんな思いでこの10年を過ごして、夢を叶えてきたんだろうか。