【完】王子様と呼ばれる彼は中身も完璧に王子様だった件




「出ていくと決めた時、翔和のことはもちろん考えた。彼を連れていく選択肢だってもちろんあったわ」



翔和を連れていく選択肢も....。



海城さんは優しいから、翔和のことも誰より考えたはず。



「でもまだ15歳の私には6歳だった翔和と一緒に暮らすことはできないと思った。彼の将来を守れるほど、私の力がないから」



「それで1人で出ていったんですか?」



「えぇ。あの家に翔和を1人で残すのは本当に心苦しかった。だけど、諦めた。私が捨てたのは家だけじゃない。たった1人の弟すら捨てたのよ」



彼女はずっと後悔してきたんだろう。



自分が苦しい思いをした家にかわいい弟を1人で残すことに。



そして何度も嘆いたんだろう、自分の無力さを。



姉として大好きな弟を守ることができない悔しさを噛みしめてきたんだろう。