「私は大丈夫ですけど....」
今日の曜日は確か、沙理ちゃんは....。
「すいません。あたしはこの後、用事があってもう帰らないといけないんです」
彼女は今日、バイオリンレッスンの日だ。
お嬢様として課せられている使命の1つで、沙理ちゃんはずっと頑張っている。
「お話は私1人でも大丈夫ですか?私なら予定もないですし」
「えぇ。お1人でもよろしければ....」
「ごめんね、妃菜。1人にさせちゃって」
「ううん、気にしないで。大切なレッスンなんだから。頑張ってね」
手を振って沙理ちゃんとは別れた。
「私のせいでごめんなさいね。お時間、大丈夫かしら?」
海城さんは私なんかよりずっと身長が高くて、店内と同じシトラス系の香りがした。



