「姉ちゃん」
さっきまでリビングにいたはずの慶一郎が玄関にいた。
「どうしたの、慶一郎。もしかして見送りに来てくれたの?」
「これをもって来たんだよ。使うだろ?」
そう言って手渡されたのは私が愛用している日焼け止めクリーム。
「これ!持っていると思ってたけど、忘れちゃってたんだ」
こんな暑い夏には日焼け止めは必需品だから。
「リビングに置きっぱなしだった」
「塗ったまま、置きっぱなしにしちゃってたんだね。忘れてたら大変なことになってた。ありがとう」
てっきり入れてると思いこんじゃってたから危ない。
「じゃあ姉ちゃん行ってらっしゃい」
その言葉に胸がジーンとなった。
「....行ってきます!ありがとね、慶一郎」
最後に弟の顔を見て家を出た。