真っ青になるあたしに、先輩はどこか黒い笑みを浮かべる。

「話、聞いてたの?聞いてなかったの?どっち?」

「……き、聞いてませんでした……」

あたしがうつむきながらそう言うと、ペチンと頭を叩かれる。

「俺が忙しい中教えてあげてるんだよ?これで赤点なんて取ったら……どうなるかわかってるよね?」

先輩、めちゃくちゃ怖い!いつものかっこいい先輩じゃなくて、ただの悪魔だよ!

あたしが顔を真っ青にしていると、先輩の顔はふわりと優しいものに変わる。ん?何だろう?ゆっくり先輩の顔は近づいてきて、耳に先輩の吐息がかかる。

「勉強、頑張ったらご褒美あげる」

「えっ?ご褒美?」

先輩はあたしの目を見つめ、ニコリと笑う。いつものかっこいい先輩だ!

「とっても甘いご褒美だよ」

その表情は、女の子ならば誰もがキュンとしちゃう甘いもの。何をくれるんだろう?まだ今日は一度も重なってない唇を重ねてくれるのかな?抱きしめてくれるのかな?