すみれの指した葉には幼虫がいたが、すみれは嬉しそうに良平の袖を引いた。

「これはオオムラサキの幼虫よね?でしょ?」

「ああ。すごいな」

「ずいぶん詳しいね」

良平は、祖父は蝶が好きで採集していると話した。


「ねえ良ちゃん。どれがエノキの木かな?餌になる葉っぱは、あの木?」

「そっちのそれだろう。先輩、あの木ですよね?」

「……ああ。そうだけど、君、あの」

蕗本はさっきはすまなかったと頭を下げた。


「冷やかしだと思ったんだ。ごめん!」

「いいえ!こっちこそ、急に来たから」



「実はさ。以前新人部員がこの花を勝手に取ってネットで売って位待った事があって。だからその、最近は知らない人の入部は断っていたんだ」