特に運動神経の良さそうな芹那は新体操部や陸上に誘われ、武道を習っている疾風は空手や柔道部、ラグビー部からしつこく誘われていた。

「しませんよ」

「でもお前。一度見学に……おい!こいつを連れていくぞ」

疾風に目をつけたラグビー部員だったが、彼は華麗なステップでこのタックルを次々と避け先を歩く美友と歩くのだった。

こんな二人の中、美友だけは疾風の眼力で一切声を掛けてもらえず悲しくなっていた。


「なんか羨ましいな。私はちっとも誘われないし。役に立たないと思われているのかな」

「気にすんな。だって運動は無理だろう」

こんな二人の横を歩いていた芹那は知っている男子先輩がいたのでさっそく恋活をするべく話し始めた。これに気を使ったすみれと良平はそっと二人の世界を演出し先を歩き出した。


「すみれって、どこの部に入るの?」

「……どうしてなの。私なんかに……」

「別に、いいだろう」

俯くすみれに、良平は頭をかいていた。

「あのさ。すみれ、俺」

「……私、外の部を観にいくから」

そういって話を切ったすみれは一人サッと駆け出してしまった。
その背を彼は悲しそうな顔で見つめていたのだった。


つづく