「さあ。どこかにあるんじゃないの?俺、ちょっと用事思い出したから」




そんな海棠は理事長室にやってきた。

他の二人もやれやれ顔で立っていた。



「貴様ら何をしておるんじゃ!美友はリア充じゃないか」

「自分だって手を貸してるじゃありませんか。なんですかあのボランティアって」

「そうだよ!自分だけいい顔しやがって」

「調子良いんだよね?でもさ、純粋無垢で健気で。その上あんなに可愛いなんて……」


海棠の言葉に皆はため息をついたが、日永が続けた。


「ま、福岡の件はもう平気ですので、ご安心してください」

「『ふくよか』か。海棠はそれが仕事だかな。それくらいやれ!」

「しっかし。美友のやつ。今度女子会するって言ってたぞ?なあ、先生」

「ああ。仲良くしている女子生徒二人は問題ありません」

「俺も行こっかな?痛!何すんだ疾風!」


こんな仲良しの三銃士を見て老齢の彼は目を細めた。


「そうか……仲良くしちゃったか……」


岩鉄はそういって窓の外のグランドを見た。
そこでは女子が円になって楽しそうにバレーボールをしていた。
彼は難しい顔をして呟いた。



「……『そのボール取ってくれと呼ぶ君へ返したくなる私の気持ち』できた!胸キュン短歌じゃ!?」


「さて。妄想短歌が出たところで」

「俺帰る!」

「俺も。欠席になるよ?もう……」

「ハハハハ!さ、帰れ!ハハハハ」



昼下がりのうらら学園は今日もこうして平和であった。



つづく
第2章へ

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ここまでありがとうございます。
明日から2話づつ公開します。