「お前は素人だし。それにそんな病弱な女の子なんて、うちに託されても困る。怪我でもしてみろ。お前のせいにされるぞ」

「そ、それはそうだけど……」

腑に落ちない彼に父は、一切関わるなと話した。

「ただでさえ成績が悪いんだから。お前にはそんな余裕はないはずだ」

「じゃあさ。美友はどうなるんだよ?あの学校はあいつが通うようなお嬢様学校じゃねえよ」

「さあな?理事長の考えだ。さて、話はこれで終わりだ」

「……父さん」

疾風は正座の膝のズボンをぎゅうと握っていた。


「俺さ……。勉強も武道もちゃんとやるからさ。美友を守りたい」

「やめておけ。どうせ、いつもと一緒。全部中途半端に決まってる」

「そんなことは」

「あるだろう?朝も母さんに起こされて感謝もせず八つ当たりだ。それに部屋もぐちゃぐちゃで、いったいどこで勉強するんだ」

「……」

「スマホのゲームばかりで挨拶もちゃんと出来ないお前に、女の子が守れるとは思えないね」

「……父さん!お願いです」

疾風はガバと土下座をした。


「何の真似だ」