こうして四人は歩き出し、すぐに二手に分かれた。


「疾風君。芹那ちゃんもすみれちゃんも中学時代は訳ありなんですって」


「……随分打ち解けて話をしたんだな」


女子の話好きに疾風は驚いていた。



「いじめとか嘘を言いふらされたり、学校っていいことばかりじゃないのね」

「……いじめって。あの淡雪すみれって子か」

「どうしてしっているの?」

「いや?なんでもない」



何か怪しい疾風だったが、美友は話を続けた。


「私だけが訳ありだと思っていたけど。みんないろんな十字架を背負っているのね」

「十字架か……」


そんな二人の頭上には金星が光っていた。



「俺の背負っているのは十字架じゃないけどな」

「じゃ、何を背負っているの?」


疾風は肩カバンをかけてけらけら笑った。