「?危ねえ。こっちに来い!」

疾風はそう言って美友を歩道側にし自分で身を呈した。




「大丈夫か?」

「うん!平気だよ!」

「そか」


父に言われた話であったが、疾風は嬉しそうに彼女を伴い学校にやってきた。



「昨日疲れただろう」

「うん、熱が出そうで早く寝たわ」

「今日は平気か。どれ」


美友の額に手を当てた疾風に彼女はフフフと笑った。


「圭介君の手が冷たいわ」


「俺は寒いんだよ」


「どれ?本当だわ」


握られて恥ずかしかった疾風はうるせ!と手を引っ込ませた。
こんな二人だったが、桜舞う並木道に美友は嬉しそうに歩くので彼も嬉しくなっていた。


やがて二人はまだ誰もいないひんやりとした朝の玄関にやってきた。




「ええと。この木箱に靴ね」

「これは靴箱!?なあ、今日は自分でやれよ」