「そ、そんな物はここにはねえ!!それに自分以外、履かないだろう?ほら、これ!黙って履け!」


怒り出す疾風にそれもそうね?と彼女は出してもらった靴を履き、そのままスタスタ行こうとした。



「おい、おいってば!お前、靴は?」

「あらま?そうね。誰も片付けてくれないんだっけ?」

「助けてよ……」



すでにげっそりの疾風に彼女は朗らかに微笑んだ。


「ホホホ。まだ初日よ」

「それは俺のセリフだし?」


こんな疾風は彼女を伴い1年のクラスにやってきた。




「……お前のクラスはどこだ。その名簿を見ろ。自分で!」


しかし美友は名簿の前でじっとしていた。


「何やってんだよ!無いのか?」


すると彼女は真顔で彼に振り向いた。


「ね、これはなんの順なの?上から探すのか下から探せば良いのかちっともわからないわ?」



「俺はお前の考えがわかんねえな!」


「書いてある順はこうですって、どこかに書いてくれたら良いのに……」



すると背後から美友に優しい声がかかった。



「いかがしましたか?」


「あの。これは何の順ですか?」


彼は優しく微笑んで美友をみた。


「これはね。苗字があいうえお順になっているんですよ」

「そうなんですか。私、背の順かと思いました……」