「大丈夫だよ。ほら立ち上がった」
「……大丈夫なの?」
「うん。あの人スタントマンでしょ」
「そうなの?」
冷静なすみれに言われて美友はようやく大人しくなった。
「そうか。これはお芝居なんだ」
「……こういうの見た事ないんだね」
小学校などでもよくやる授業なのですみれは知っていたが、美友は目を爛々とさせていた。
「初めてよ?興奮するわ」
「……面白がっちゃダメなんだよ。恐怖心を抱かないと」
「そか?でも、本当に危険ね」
こうして彼らの身を呈した授業は学生から拍手をもらって終了したのだった。
「おい。このままクラスに戻るが、各クラスのクラス委員長と副委員長は残れ
!早く」
山下の声に美友と疾風はこの場に残った。
「ねえ。疾風君。私達何をさせられるの?」
「なんか用があるんだろ」
「そう?……ねえ、美友にもさっきのカーアクションをしろって言ってきたらどうしよう……」
「断れよ!って言うか言って来ねえから?」
この二人の会話を他のクラスの委員長達は笑いを堪えて聞いていた。
「ねえ、ねえ。疾風君」
「なんだよ」
「あの車って初めからボロボロね」
「知ってるから!お前以外」
「そうなの?」
この辺りでみんな笑い出していたので、美友は恥ずかしくなって疾風の背に隠れた。
「やだわ?恥ずかしい……」
「この方が恥ずかしいから!ほら、始まるぞ」


