「それには色々あってさ。まあ、掛けてくれよ」
彼はそういって中学生の女子にベンチを進めた。
「俺もサボろっと!実は俺は考古学を専攻していてね。この周囲のお寺や昔の城跡を計算すると絶対この地に古墳があると思うんだ」
「壮大なロマンですね!」
「だろ!でもさ。ここの意地悪理事長はいくら頼んでも俺に掘らせてくれないわけよ?でもさ、頼み込んだらやっと用務員で雇ってくれてさ。合間に探しても良いって言われてるんだ」
「だからスコップを持っているんですね」
「ああ。この前は泥棒だと思われて通報されたけどな?アハハ」
そんな楽しそうな彼を少女は目を細めて見ていた。
「いいな。やりたい事があって打ち込めるなんて。私も一緒に探して見たい」
「大歓迎だよ?この学校に入学するんだろ」
「……たぶん。お家の許可が出れば」
「何それ?」
彼女はすっと立ち上がった。
「何でもないです。ねえ、用務員さん。入学したら私も手伝っていいですか」
「ああ」
「では、他の見学してきますね」
顔の白い少女の寂しそうな顔にドキンとした彼はちょっと待った!と声をかけた。
「これやるから」