「素敵なお名前ですね。外国の方ですか? 」

「あ…はい…ちょっと、見学に来ていまして…」

「そうですか。随分と日本語がお上手なのですね」

「あ…はい…」


「あの、せっかくお会いできたのですから。お茶でも飲みませんか? 」

 誘われたフェアディーは、とても驚いた目を向けた。

 
 ふと、忍はフェアディーの足元を見た。


 素足のフェアディーを見て、そっと微笑んだ。


「すみません。ここから動かないで、5分だけ待っていてもらえますか? 」

「5分ですか? 」

 
 よく判らない顔をしているフェアディーに、忍は腕時計を外して渡した。

「今、夜の7時を指しています。この長い針が1の所を指すまで待っていて下さい」

「はぁ…」

「いいですね? 待っていて下さいね」


 忍は走って行った。


 残されたフェアディーは、時計を見て不思議そうに首をかしげた。


 高級そうな金色の腕時計。

 なんとなく見ているとワクワクしきたフェアディーは、秒針を見て長い針が動いて行くのを楽しそうに見ていた。




 長い針が1を指す頃。


「お待たせしました」


 忍の声が聞こえて、フェアディーはハッとなった。


「待っていてくれて有難う。はい、これ」


 大きめの紙袋から、可愛い白いパンプスを取り出し忍はフェアディーに渡した。


「靴、履いてないだろう? これは履いて」


 足元に靴を置いてもらうと、フェアディーは素直に履いた。


 パンプスを履くと、ちょっと背が高いフェアディー。

 初めて感じる感覚なのか、フェアディーは不思議そうな顔をしている。