「あー!うわーん!」

突然すずが泣き出し、私はそちらを見る。
テーブルの上には倒れたコップとこぼれた牛乳。目を離したすきにこれだ。

「牛乳こぼしちゃったの?ちょっと待ってて。えっと、布巾は…どこだっけ?」

まだ勝手がよくわかっていない私はキッチンをうろうろとさ迷う。その隙に柴原さんがタオルを持ってきてくれた。

「すず、服は濡れてない?」

「ぬれてなーい!」

すずは元気よく手を挙げたが、その手がまたコップに当たり、コップはカランカランと音を立ててテーブルから転がり落ちた。

「こっぷおちちゃったー。」

すずが残念そうな顔をするので、私と柴原さんは顔を見合わせて思わず笑ってしまった。
本当に、子供は朝から元気いっぱいだ。

プラスチックのコップでよかった。
食器類もプラスチックのものに替えようと心に決めた。