目が覚めると、私はベッドの上にいた。
多分、剛毅さんの部屋だ。

手首と足首はロープのようなもので縛られ、自由の利かない状態だった。


その上、頭もズキズキと痛む。
一体どういう状況なのだろうか。

目を覚ます前の出来事を思い返し、ようやく事の重大さに気づいた。


そうだ、思い出した。

3日後に仁蘭が奇襲をかけるという話を、莉乃ちゃんが剛毅さんに伝えたのだ。


だから私は瀬野に伝えようと思い、煌凰のアジトから抜け出そうとしたけれど。

雷霆の総長に捕まってしまったのだ。


「……起きたか」
「…っ!?」


突然開けられた扉。
電気もつけられ、眩しさのあまり目を細める。

部屋に入ってきたのは他でもない、剛毅さんだった。


「お前、本当に無謀なことすんだな」
「何が」


「全部聞いた。瀬野の元に行こうとしたんだってな?
やっぱりお前は瀬野が忘れきれない、悪い女だ」


悪いのは剛毅さんも同じだ。
ズルくて、勝利のためなら手段を選ばない人。