負け犬の傷に、キス




「チッ。浅かったか」




柏がいち早く臨戦態勢に入った。


しかし男2人は頭を押さえながら、焦点の合わない視線をさまよわせる。


なんだろう。
様子がおかしい。



……あ、目が合った?


あれ? 合ってなかったかも。

どこを見てるんだ?



男たちの血の気の引いた形相はみるみる歪んでいった。



「ひぃっ……!」

「う、うわああぁぁ!!」



うん? 怖がられてる?

うしろに何かいるのか?


試しに振り向いてみても特に怖いものはない。




「く、来るなあああ!!」




絶叫しながらおぼつかない足取りで逃げていく。


ええ……。
何だったんだ?




「来るなって……近づいてないんですけど」


「なんだ? あの変わりよう」


「ビーヤンのこと怖がってたんじゃない?」


「ついさっきまで調子こいてたヤツがあそこまで急変するかぁ?」


「おばけでも見たみたいな反応だったよな」




もしかして本当におばけがいたとか?

……いやいやそんなまさか。



いまいちすっきりしない終わり方だなあ。



モヤモヤしていると、遠くからサイレンの音がした。


赤い光がチカチカ見える。



「やば!」



警察だ!