負け犬の傷に、キス




だからこうして、どこにでもいる高校生の放課後を装ってる。


俺たちが双雷の人間だって知られてなきゃ、どこからどう見ても甘党な男子たちだ。うん、どこも変じゃない。



ポニーテールの男はわからないが、中学生の男の子のほうは、俺のことを尋ねる程度には俺のことを知らないようだから、この作戦で問題ないはず!




「……やっぱりこの作戦じゃ無理あるんじゃない?」


「え!? どこが!?」




いける!と再確認したとたんに、薫に指摘された。なぜだ。

薫は2つ目のティラミス風クレープを買いながら、ため息まじりに周囲を見渡す。




「探してる人がキユーを知らなくても、周りのヤツらがうわさしてたらバレちゃうでしょ」


「あっ」


「だーから変装したほうがいいっつったろ」


「……そうだね……」




ふたりとも頭いいね。

いや、視野が広いのほうか。


俺、全然気づかなかったよ……。



怪しい人物がいないか、その一点にだけ集中しすぎてた。


ヤンキーたちの敵意やら、見知らぬ女子たちから薫や柏への熱視線やら、四方八方からこんなにも浴びていたのに。




「今日はこれで終わりにして、作戦立て直そ」


「うん……それがいいよ……」


「落ち込みすぎだろ」


「キユーの頭が悪いことくらい初めから知ってるのにね」


「傷口に塩を……!!」


「事実だろ」


「悪くはない! ふつうだよ!」


「どっちでもいいけど、まずは情報集めしないとね~」