痛い。ものすっごく痛い!
……けど、女の子泣いてるし、平気なフリ。
「だ、大丈夫?」
笑顔で聞くと、女の子は安心したのかぎゅっと抱き着いて泣き出した。
真っ赤なランドセル。
小学生か。
階段から落ちたら怖いよな。
俺も怖かった。
泣きたくもなるよ。
女の子の頭をポンポンとさする。
周りからはなぜか拍手が響いた。
「助かってよかったわ」
「お兄ちゃんやるな!」
「かっこよかったぞ!」
うわ。いつの間にこんな野次馬が……。
喝采に慣れてなくて気恥ずかしくなる。
歩道橋の上を見やれば、既にヤンキーたちの姿はなかった。
「ぐすっ……。お、お兄さん、ありがとう……っ」
「どういたしまして。きみに傷がなくてよかったよ」
「……あの、」
女の子が泣き止むと、野次馬の中から見知らぬ女子がおずおずと前に出てきた。
う、うわあ……かわいい子だなぁ。
淡いクリーム色のワンピース……って
名門中の名門、超進学校で有名な
白薔薇学園の制服じゃん!
同じ高校生でも雲泥の差。
一気に神々しく見えてきた。
「もしかしてその右足、ケガしてませんか?」
「へ!?」
ギクリ。
なぜバレた!?



