箱を大事そうに抱え、望空ちゃんはぴょんぴょんスキップしながらまた遊戯室に戻っていった。




「……望空ちゃん、いつも通りじゃ、ない、ね」


「……うん」


「でも……“望空ちゃん”で、よかった」


「うん、そうだな」




ひそかに涙する夕日ちゃんを抱きしめる。

もらい泣きしそう。



夕日ちゃんもここ最近、望空ちゃんのことが心配すぎて心ここに在らずだったもんな。抱き心地が少し固いのもそのせいなんだろう。



望空ちゃんが生きてくれて、よかった。よかったよ。ほんとに……よかった。




「……希勇くんは、あたしより先に死んじゃいそうだよね」


「えっ!? 急に何!?」




縁起悪いこと言うなよ!




「ごめん……ちょっと怖くなって」


「死なないよ。生きるよ」


「……だって希勇くん、いつも盾になろうとするから」




さらにポロポロこぼれていく涙に、ひとつひとつキスをする。


目元。頬。唇。

しょっぱさごとリップ音をはわせていく。



きびだんごひとつ食べてからのほうが甘かったかも。まあいいか。涙味も好きだし。


夕日ちゃんとのキスなら全部愛せる。




「大丈夫だから泣かないでよ」


「っ、」


「死なないように頑張るから。生きて、守ってみせるから。もし傷ついても、夕日ちゃんが治してくれるだろ?」


「っ……治すよ! 治す、けど……まずは傷つかないことを頑張ってよ! バカ!」