「あたしも夕日さんに会いたいー!」
「あっ!」
望空ちゃんに先越された!!
ぴゅーんと走っていく望空ちゃんを追いかける。
遊戯室を出てみれば、ホールには愛しのカノジョ。
手には小さめの白い箱があった。
ほのかに甘い匂いがする。
「夕日さーん!」
「えっ! わっ! 望空ちゃん!?」
どーん!と抱きついてきた望空ちゃんにびっくりしながら、夕日ちゃんは望空ちゃんの明るさにほっとしていた。
「……よかった、望空ちゃん。ほんとに……」
涙ぐむ夕日ちゃんに、望空ちゃんはごめんねと言いたげに目尻を細める。
「円堂さんのお葬式には行った?」
「ううん、行けませんでした。あたし引きこもってたから。それに……まだ、会う勇気が、ないですし」
「……そう。ごめんね、不謹慎だったよね」
「そんなことないです! 謝らないでください! あたしの問題だから。まずは生きることを頑張るんです! 勇気はそれから!」
ちょっと空元気っぽいけどそのくらい明るいのってすごいことだよな。
今も既に頑張ってるんだよな、きっと。
「そんな頑張り屋さんな望空ちゃんに、はいこれ」
「え?」
「作ってきたの。これ食べて、望空ちゃんたちにちょっとでも元気をあげられたらいいな、って」
「え……えええ! 嬉しいです! 中身なんですか!?」
望空ちゃんに急かされ、差し出した白い箱を開ける。
中には……
「きびだんごだよ」
きなこ色のおだんごがたくさん。
き、きびだんご!?
何そのチョイス! 作ったってすごっ!
ケーキとか洋菓子かと思ったらななめ上をいった!
「わあっ! 美味しそう!! これみんなにも分けていいですか?」
「もちろん」
「わーい! 早速遊戯室にいるみんなと食べてきますね!」



