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「両親に、叱られました」
3週間後。
たまり場の遊戯室で再会した望空ちゃんは、デクノボウでもか弱くもない、俺の知る“富樫望空”だった。
俺があわあわおろおろしてる間に少しは立ち直れたらしい。
俺、なんにもできなかった……。
先輩として、総長として、情けない……。
「あたし、本当は死ぬ気でいたんです。手首をカッターで切り裂いて、仁奈の……親友のあとを追おうって」
驚きはしなかった。
それくらいあのときの望空ちゃんはひどかった。
そうなってしまうのもわかる気がした。
「でも……お母さんに止められちゃいました」
あはは、と望空ちゃんはふやけた笑みをこぼした。
どこか自嘲めいていて。
晴れやかなようにも感じた。
「あたしのせいならなおさら生きなさい、って」
それからポツポツと嘆くように語られた。
友だちがいじめられたこと。
救えなかったこと。
いじめに加担するような真似をしてしまったこと。
友だちが目の前で飛び降りたこと。
後悔してること。
何ひとつ守れなかったこと。
「あたしってこんなに弱かったんだって、痛感させられました。大事な……かけがえのない親友だったのに……っ。あたしの弱さが殺したも同然です」
喉をつまらせたように嗚咽が漏れた。



